今回の解説は母指(親指)の捻挫の中でも尺側側副靭帯損傷について解説したいと思います。
尺側側副靭帯とは母指MP(中手骨と母指の基節骨)を結ぶ靭帯です。本外傷は手をついて母指が外側へ強く強制された際に損傷しますが、一般的にはスキーでの転倒でストックのストラップにより母指を外側に強制され損傷するケースが多く靭帯の完全断裂をきたすこともあります。適切な治療が行われないと母指の長期間の関節不安定性と機能障害を残す可能性がある為注意が必要です。
靭帯損傷には次のような分類があります。
第1度:靭帯の微細損傷で関節は安定している。
第2度:靭帯の部分断裂で軽度の関節不安定性がある。
第3度:靭帯の完全断裂で関節不安定性が著名にみられる。
尺側側副靭帯損傷での1度、2度の捻挫では保存的療法が可能ですが3度(完全断裂)ではほとんどの場合観血的療法が適用される為受傷した際は早期に専門の先生に受診されることをお薦めします。