今月は手首の痛み・・・特に三角線維軟骨複合体(TFCC)損傷について説明します。手首の痛みを訴えて来院される方は多いのですが、その中でも注意を要するのが手関節の三角線維軟骨複合体(TFCC)と呼ばれる組織の損傷です。
TFCCは手関節尺側(小指側)にある尺骨茎状突起の周囲にあり、関節円板と靭帯、腱鞘で形成されています。働きとしては、手関節の安定性と手関節に伝わる衝撃を緩和するクッションのような役割をしています。手首が回内回外(内ひねり、外ひねり)を過度に強制されたり、転倒などで手を突いた時などの外傷によるものと慢性的な使いすぎによるものや、加齢に伴う退行性変性を基盤に発症する非外傷性のものがあります。症状としては手関節尺側部に疼痛、腫脹が生じ前腕の回旋動作によって痛みが増悪し時には関節音も伴います。治療法としては、3w~4wの外固定をし患部の安静を図りながら基本的には理学療法等の保存療法を行いますが、症状によっては関節鏡視下手術を行う症例もあります。この部位はレントゲンには異常を認めないことが多いので、慎重な診断が必要になります。