今回は野球肘について解説したいと思います。
野球肘とは投球動作の繰り返しにより発生した肘の障害を総称して野球肘といいます。特に小学校高学年から中学生の成長期の児童に多く発症しますが、高校生や大人でもみられます。
主な原因は投球動作の繰り返しによる使い過ぎ(オーバーユース)や投球フォームの崩れからくるストレスなどが考えられます。
【野球肘の種類】
野球肘は主に「内側型」「外側型」「後方型」の3種類に分類され内側型、外側型が多くみられます。今回は内側型を重点的に解説していきます。
【内側型野球肘の特徴】
一口に内側型と言っても色々な病態があります。代表的なものをいくつか紹介します。
① 上腕骨内側上顆部の障害
これは別名「リトルリーグ肘」と言われ、少年期に起こる野球肘の大半を占めます。投球動作の繰り返しなどで肘の内側部にストレスが加わり図に示す場所の成長軟骨が障害されてしまうものです。発症初期であれば投球動作の中止など、患部の安静をはかることで症状が改善します。また筋肉の硬さや、フォームの崩れがある場合、再発防止のためにそれぞれ改善が必要となります。
② 内側側副靭帯損傷
これは先ほどのリトルリーグ肘とは違い、高校生以上の選手に多く見られます。やはり投球動作の繰り返しにより内側の靭帯に牽引力によるストレスが加って炎症を起こします。疲労の蓄積や筋肉の硬さもその原因の一つです。この症状が進行すると靭帯の損傷が強くなり靭帯断裂を起こす危険も考えられます。
どちらもやはり投球動作の負担(オーバーユース)、投球フォーム、筋肉の柔軟性の改善が必要になります。肘の痛み(特に少年期)は放置せず早めの投球動作中止と治療を心掛けましょう。