今回は大腿部(太もも)の打撲について解説します。
大腿部を打撲する時の多くはサッカーやラグビーなどのコンタクトスポーツをしている際に負傷します。大腿部に膝や肘、スパイクなどがぶつかり、強い外力が加わることで筋肉を損傷します。特に大腿四頭筋(前面部)の損傷が多くみられます。
【症状】
受傷直後は痛みと腫れ、膝関節や股関節部の運動制限がみられます。その後経過とともに痛みや腫れが著明にみられるようになります。筋繊維の損傷具合が重度な場合は大腿部の内圧が上昇し皮膚の緊張が強まり、光沢を帯びることもあります。また急性のコンパートメント症候群(※1)を合併することもあるので注意しましょう。慢性化すると損傷部位が硬くなり膝関節の可動域の低下が残ってしまいます。
※1患部の内圧が高くなり血流障害を起こす疾患(後ほど説明します)
【分類】
損傷度合いは膝関節の屈曲角度によって分けられます。
軽度 :膝関節が90°以上屈曲可能
中等度:膝関節が90°まで屈曲不可
重度 :膝関節が45°まで屈曲不可
【処置】
受傷直後は出血を最小限にとどめる為すぐにアイシングを行い、出来るだけ損傷部位を伸ばす肢位(膝関節屈曲位)をとり血腫の形成を抑制します。筋挫傷の治療のほとんどが保存療法になります。損傷が軽度であれば可能な範囲で荷重を行い、重度の場合は内出血が起きるリスクが高いため、急性期の荷重は避け痛みが増悪した場合医療機関への受診をお薦めします。
打撲は治癒までに長期間を要する場合が多くみられます。初期の適切な処置が早期回復のカギです!