骨折は通常、4つの修復過程を経て治癒します。今回はその過程を説明しようと思います。
1. 炎症期
・骨や血管が離断されると、出血やリンパ液の遊出により血腫を形成します。また骨が損傷を受けて24~48時間を過ぎると出血、リンパ液が増えて患部の腫脹が増大します。この時期に適切な処置することが大切で、その後の骨の再生に大きく関わってきます。
2. 仮骨形成期
・骨折後1週間程で層状の骨(仮骨)形成が始まり、その組織の中に骨細管ができ栄養を供給します。この時期は真の骨組織とは異なり構造が不規則なため、レントゲン写真でははっきりと写りません。
3. 仮骨硬化期
・4週間を過ぎると仮骨は吸収作用と添加作用によって成熟した骨組織になってきます。この時期になってくると明瞭に仮骨(新しい骨)が骨折部を紡錘形に覆っている様子がレントゲン写真で確認することができます。骨形成が急速に行われ、さらに炎症反応が消退する時期になります。
4. リモデリング期
・骨折部を紡錘形に覆っていた硬化仮骨は、患部が回復するともに骨吸収、添加作用が進行して日常生活に有利な形態に順応していきます。この変化を自家矯正といい、自家矯正は数年単位で行われて最終的に整った骨に戻ります。
このように骨折の治癒過程は大きく4段階に分けられ、その時期に応じて適切な処置(患部の固定、物理療法、手技療法、及び生活指導)を受けることが大切です。 骨折をしてしまった場合は早期に適切な処置を受けることを心がけ、早く治るよう専門医と共に頑張って治療を行いましょう。