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神経麻痺『手根管症候群』

 今回は手根管症候群について解説します。

 手根間症候群は「正中神経」という手指の運動や感覚をつかさどる神経が手関節部で絞扼されて神経障害を起こした状態のことです。

 絞扼性とは文字通り締め付けるという意味で、手関節部にある手根骨(手首にある8個の小さな骨の集まり)とその周囲にある強靭な靭帯で構成されたトンネルの中を走行する正中神経が圧迫されることにより、手指の痺れや感覚異常などを起こします。その原因は手の使いすぎをはじめ、ホルモンバランスの変化などが多く、中年以降の女性に多いとされています。

 症状としては、親指・人差し指・中指・薬指の痺れと感覚低下があり、特に夜間に強く痺れが出現します。手指の痺れと言われると頸部が原因で起こる痺れとの鑑別が必用になりますが、手根管症候群は麻痺が進行すると親指と人差し指でのつまみ動作が困難になり、親指と人差し指でのきれいな丸を作ることが出来なくなります。加えて母指球筋の筋力低下や萎縮なども現れてきます。

 治療方としては発症からの経過が短く、痛みが軽度なものに対しては保存療法で手関節を固定し安静・経過観察を行います。保存療法で軽快が見られないものや、症状が進行し痛みの強い場合は手術の適応となってきます。そうならないためにも早期発見・早期治療が重要です。

 手指の痺れや感覚異常が見られる場合は早めに専門医に診てもらいましょう。

上腕二頭筋腱損傷

 今回は上腕二頭筋腱(力コブの筋肉の腱)の怪我について解説していきます。
 上腕二頭筋の腱は上腕骨(腕の骨)にある骨のトンネル内を走行している為、その部分で摩擦が生じ炎症や断裂などが起きやすいと言われています。

①腱の断裂
 スポーツ中や重い物を持ち上げた際に腱が断裂してしまうことがあります。上腕二頭筋(力コブの筋肉)が縮もうとする力に対して外力により無理に筋が伸ばされた際に多く発生します。

 断裂が生じた際には断裂音とともに肩関節の前方に痛みが出現します。腱が切れてしまうと張力を失った上腕二頭筋(力コブの筋肉)が下方に下がってしまい、まるでポパイの様に筋肉が盛り上がって見えてしまうのが特徴です。
 痛み自体は2~3週間で軽快することが多いです。また、腱が完全に切れずに部分的に切れていることもあるので注意が必要です。

 断裂に伴い、肘を曲げる力、腕を外側にまわす力などの力が入りにくくなってしまいます。
 例えば、ドライバーを回す様な動作がそれにあたります。その為、筋力低下が問題になる職業やスポーツをしている場合は手術になる事もあります。

②腱鞘炎
腕のオーバーワークにより負荷がかかり痛みが出現することがあります。腱自体あるいはその周囲を取り巻く腱の鞘(さや)の炎症によって肩関節の前方に痛みが出てきます。肩を上げるような動作や、抵抗をかけて肘を曲げたりする動作で痛みが出現するのが特徴となります。

 肩関節周辺の痛みには様々な原因があり、鑑別し適切に治療を行うことが重要です。 痛みを感じた場合は無理をせず、医療機関を受診するようにしましょう。

翼状肩甲

 今回は翼状肩甲について説明します。
翼状肩甲とは、肩甲骨周辺にある筋肉のバランスの崩れが原因で肩甲骨の内側が突出した状態(正に鳥の羽のような状態)のことをいいます。

肩甲骨周辺にある筋肉の中でも、肩甲骨の拳上(肩をすくめるような動き)、内転に作用する僧帽筋・肩甲挙筋・菱形筋と、その拮抗筋である下制、外転させる前鋸筋・小胸筋とのバランス不良。さらにそれらの筋を支配する神経の副神経・肩甲背神経・長胸神経の麻痺が原因とされています。

正常の肩関節は腕を90度以上上げるときに肩関節の動きだけでなく、肩甲骨の内側縁に付着する前鋸筋や肩甲棘から肩峰に付着する僧帽筋の働きで肩甲骨が胸郭の外側を滑るように移動します。前鋸筋が麻痺すると腕を上げる際に肩甲骨が胸郭の外側に移動できなくなり、肩甲骨の内側縁が背中側に浮き上がってしまって、それ以上腕を上げることができなくなってしまいます。これが翼状肩甲の症状です。

 腕が上がらない。肩甲骨の動きが悪い。などの症状や違和感が現れた際には当院へご相談ください。素早い処置がその後の症状改善に有効であり早期回復が期待できます。

尺骨突き上げ症候群

 今回は尺骨突き上げ症候群について説明します。
尺骨突き上げ症候群とは、前腕部にある橈骨と尺骨という骨の橈骨側を骨折した場合(コーレス骨折、スミス骨折など)に整復が不十分で変形治癒になってしまった際(骨が正しい位置に戻らずそのままくっついてしまった状態)、橈骨が短縮した形態になるため相対的に尺骨が長くなり、尺骨頭が背側に転位することで手関節のアライメントが崩れて痛みが発生した状態をいいます。その為、手根骨等の手首側の骨を尺骨が押し上げる状態になり、前腕の回旋や手関節を動かすことで痛みや擦れる音が出現し、さらには手関節にある三角線維軟骨複合体(TFCC)を損傷することがあります。

 処置としては、症状により手関節部の安静固定等を施行しますが、痛みが強い場合には外科的手術(橈骨の矯正骨切り術や、尺骨も短縮骨切り術など)を行う場合もあります。

 以前に骨折の経験がある方で手関節部に痛みが出現したり、違和感等がある方は一度当院にご来院下さい。

動揺肩(ルーズショルダー)

 今回はルーズショルダーについて解説します。
まず、体質的な肩関節の「ゆるみ」を基盤として肩関節が脱臼を生じるようになった状態のことを非外傷性肩関節不安定症といい、この「ゆるみ」にあてはまるものがルーズショルダーになります。

 ルーズショルダーは肩関節を構成する筋肉や靭帯などに外見的な異常が無いにもかかわらず、上腕骨が下方にずれる傾向のあるものをいいます。10代から30代の特に女性に多いのも特徴です。

 症状としては無症状の場合と有症状の場合とがあり、有症状例では脱臼不安感(脱臼してしまいそうな感覚)、脱力感、鈍痛、スポーツ動作時の障害などが見られます。また他の関節にもゆるみがあり、全身的な関節弛緩がみられることが多いと言われています。

 治療としては無症状例のものは治療の必要はありませんが、有症状例の多くは筋力強化によって改善します。しかし難治性の場合や頻繁に脱臼を繰り返しているものはその限りではありません。上記のような症状がみられる場合は一度専門医に診察してもらうことをお勧めします。

ふとももの肉離れについて -ハムストリングス編-

 前回の太ももの肉離れ-大腿四頭筋編-に引き続き、今回は太ももの後ろ側のハムストリングス(半腱様筋、半膜様筋、大腿二頭筋の3筋の総称)という筋肉の肉離れ(筋組織の損傷)について解説していきます。

 運動時にハムストリングスが収縮しようとする力に対し、膝関節が無理に伸ばされるような動き(ハムストリングスが伸長する力)が働いた時に多く発生します。例えば、ランニングやジャンプからの着地などにより負傷する場合です。また、稀ではありますが膝関節が伸びた状態から股関節を曲げる事を強制された場合にも発生することがあり、その場合臀部とふとももの境目周辺に痛みが発生します。怪我をした際には、太もも後ろ側に鋭い痛み、力の抜けるような感覚、時には音が聞こえるような突然の衝撃を感じることがあります。

 原因として①筋疲労、②筋肉の柔軟性の低下、③ウォーミングアップ不足、④下肢の左右の筋力差や太ももの前後の筋力のバランスの悪さなどが考えられます。

 症状は患部を押した時の痛み、腫れ、出血斑(アザ)、硬結(しこりのようなもの)、陥凹(へこみ)等が出現します。また重度の損傷になると、うつ伏せ状態から膝関節を伸ばそうとすると痛みが強く出現し膝が完全に伸ばせないことがあります。

処置としては大腿四頭筋の肉離れと同様に、すぐにRICE処置を行います。荷重歩行を避け、腫脹部を軽く圧迫し、アイシングを行います。痛みがある方の足を心臓より高く挙げることも重要です。その後は我慢や無理をせず、専門機関を受診するようにしましょう。また怪我をしない為にもストレッチ、ウォーミングアップ、クールダウンは重要になりますので常に心がけるようにすると良いと思います。

滑液胞の損傷について

 今回は滑液胞の損傷について解説したいと思います。
まず滑液胞とは、関節周囲の筋肉や腱、靭帯などの組織間にある袋状の構造をしたものをいいます。滑液胞の中には粘液様の滑液とよばれる液が存在し、所在部位によって、皮下滑液胞、筋下滑液包、筋膜下滑液胞などがあり、各部での関節運動による組織間の摩擦を少なくする役割を果たしています。

 関節にかかる負担を和らげる働きを主に存在しますが、関節運動を行うことで常にストレスを受けることになり、さらに繰り返しの運動によって滑液胞の組織が損傷しやすくなってきます。特に症状は可動の広い肩関節や膝関節に多く見られ、他にもアキレス腱などに発生し日常生活動作にも支障をきたすことがあります。

 あきらかな外傷がないにもかかわらず関節部付近に痛みが出現してきた場合はこのような傷病が考えられるため、ぶつけてないから、捻っていないからなどと侮らずに早めに専門医に診てもらうように心がけましょう。

ふとももの肉離れについて -大腿四頭筋編-

 今回はふとももの肉離れについて説明します。
ふとももの肉離れ(筋組織の損傷)は、ふとももの前側にある大腿四頭筋という大きな筋肉の一部である大腿直筋によく発生します。
発生原因としては①筋疲労、②柔軟性の低下、③ウォーミングアップ不足などが挙げられます。運動中などにふとももの前側に突発的な激しい痛みを感じたらそれは肉離れかもしれません。もちろん痛みが出たものすべてが肉離れではありませんが、注意して症状を確認することが必要です。

 肉離れは重症度により症状の強さが変わります。
肉離れの特徴的な症状として、腫れ、出血斑(アザ)、硬結(しこりのようなもの)、膝関節の屈曲制限(曲げられなくなる)などが出現します。晴れが出現した場合は痛くない方のふとももと太さの違いが見られ、膝関節が90度近くまで痛みで曲げられない際には重度の症状が考えられます。また出血斑は痛みが出てからすぐには確認できず、数日後に症状が出現することが多いです。

 処置としては痛みが出たらすぐにRICE処置を行いましょう。
荷重歩行を避け、腫れを軽く圧迫し、アイシングを行います。痛みがある方の足を心臓より高く挙げることも重要です。これらの処置を行う事により出血量や腫れを軽減する事が出来る為、その後の症状の回復状況に大きく係わってきます。

 再発予防も重要です。筋持続力トレーニング(ストレッチ、ウォーミングアップ、クールダウン)は予防に必須です。疲労した筋肉は肉離れを起こしやすくなりますので注意しましょう。これらの症状や痛みが出現した際には無理をせず、すぐに専門医を訪ねて下さい。早期に正しい処置を行うことが早期に回復するための近道です。

鼠径部痛(股関節)症候群

  • 鼠径部痛症候群とは
     鼠径部(股関節部)周辺を中心とした不定愁訴(痛み)を訴える外傷です。

  • 症状
     初期では日常生活に大きな影響を及ぼす程ではなかった痛みが次第に慢性化し悪化してしまいます。
     日常生活動作では起き上がり動作やくしゃみ、スポーツ動作ではダッシュやキックなどで強い痛みを生じるようになります。
     特にサッカーやラグビー選手に多く見られ、一度発症すると治りにくいのが特徴的です。

  • 原因
     何らかの原因(使いすぎなど)で下記の可動性、安定性、協調性に問題が起き低下したまま無理にプレーし続けると、症状が慢性化し体幹部から股関節周辺かけて機能障害が生じ発症します。

    ① 可動性の低下
     体幹部から股関節周辺の筋肉や関節の柔軟性(可動性)の低下により拘縮が起こる。
    ② 安定性の低下
     骨盤を支える筋力(安定性)低下により不安定性になる。
    ③ 協調性の低下
     体幹部と下肢(下半身)の動きが効果的に連動すること(協調性)が出来ず
    不自然な使い方になってしまう。

    ※内転筋群起始部(内太もも)に痛みを訴える例が最も多く、下腹部にもみられます。

  • 治療・予防
     スポーツ活動の中止などの保存療法が主流です。可動性を増す為のストレッチ運動、筋力強化などを行うことが基本になります。
     また、運動前後には準備運動、整理運動を行い股関節周辺の拘縮予防や筋力低下の予防などを心がけて下さい。

踵骨棘

 踵骨棘は、かかとの骨が増殖したものです。かかとの裏側の骨から足指の根本まで伸びている足底筋膜という筋肉が、かかとの方に過度に引っ張られるとその張力が原因で骨棘が形成されます。
 レントゲンでみると鳥のくちばしのように骨が飛び出ているのが確認できます。通常は骨棘ができると痛みを伴いますが、靴やインソールなどで足を調整すると痛みは軽減します。
 症状として朝歩き始めに踵の底に痛みを感じたり、踵を強く押すと激痛が走ったりします。ひどくなるとズキンという痛みで足がつけなくなる事もあります。

(踵骨棘の対処法として)

  1. 柔軟性を高める(足裏の筋肉をマッサージしたり、ふくらはぎのストレッチをする)
  2. 靴・インソール(足のアーチ(土踏まず)の低下を起きにくくする)
  3. 薬物療法(コルチステロイド薬と局所麻酔薬を注射し痛みをコントロールする)
  4. 手術療法(骨棘を取り除く。ただし保存療法で痛みが取れず生活に支障をきたす場合に行われ、手段としては最終手段となることが多い)

早めの治療や処置を行えば痛みを最小限に抑えられることもあります。
上記の症状がでた場合は早めに専門医に診てもらう事をお勧めします。