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骨化性筋炎

 今回は骨化性筋炎について解説します。
 骨化性筋炎とは、打撲などの筋挫傷後に起こりやすい合併症のことで、筋や関節、靭帯などに起こる異常骨化のことをいいます。
 打撲後の治療開始の遅れなどが原因で発症しやすく、患部の損傷が強ければ強いほど、また繰り返しの外力が原因で発症しやすくなります。

 症状として、関節が曲がらない、運動時の痛み、腫脹などが主な症状で、レントゲン検査で患部に骨化像を認めます。

 治療法としては患部の安静を第一とし、温熱療法を中心に治療を行います。炎症期後は痛みの生じない範囲で可動域訓練を行い、運動制限を除去していきます。

 筋挫傷受傷時の初期処置で適切な治療が行われなければ上記のような症状が出現することがあります。打撲だと侮らずに、しっかりと治療を受けるようにしましょう。

大腿骨頭壊死症

 今回は大腿骨頭壊死症について解説していきます。
 大腿骨頭壊死症は①症候性大腿骨頭壊死症と②特発性大腿骨頭壊死症の2つに分けられ、前者は外傷や内科的疾患などが原因で発症するもの、後者は明らかな原因なく発症するものに分類されます。
 ①の症候性大腿骨頭壊死症が発生する最も多い原因として、大腿骨頸部の骨折、股関節の脱臼などの外傷があります。骨折や脱臼を起こした際の血流途絶が原因と考えられています。また潜函病、ゴーシェ病など血管内の塞栓も発症原因としてあるようです。さらに、放射線治療や大腿骨頭手術時の血管損傷を起こした場合でも骨頭壊死を招く場合があります。
②の特発性大腿骨頭壊死症は外傷などの原因が無いにも関わらず阻血性の壊死を起こし、それにより骨頭の圧壊変形が起こって股関節症に至るものを言います。薬剤の投与歴、アルコール多飲歴が深く関わっている事は間違いないようですが、ハッキリとした原因は判明されていないのが現状です。

 男性では40歳台、女性では30歳台の発生頻度が高く、男女比は男性の方が多いようです。症状は股関節の痛みを訴える事が多く、時には膝、臀部の痛みを伴う事があります。痛みは徐々に出現してきますが、階段を踏み外す等の小さなストレスが股関節にかかった事を境に突然激しい痛みを訴える事もあるようです。患部の痛みは2〜3週間で軽減する事が多いですが、変形の進行と共に持続的な痛みに変化していくこともあります。特徴的な症状として股関節の外転(外側に開いていく動作)、内旋(下腿部を内側にひねる動作)時に動きの制限が出現し、進行していくと可動範囲が減少していきます。

 予後は患部への荷重を避けた状態が維持できれば2〜3年で骨組織が修復し正常に戻りますが、殆どの人が日常生活で荷重してしまう為、患部の壊死範囲が広いものは圧潰していきます。この圧潰の発生や進行を防ぐこと、また関節症の進行も同時に防止する事が保存療法では大切になります。一方、手術療法は人工股関節置換術後など様々な種類が行われます。

 この疾患の発生は稀ですが症状が現れた場合には重篤な状況を招く恐れがある疾患の一つです。
 股関節の痛みや可動域の制限が出現した際は、痛みを我慢せず医療機関を受診し相談することが大切です。

ベイカー嚢胞

  • ベイカー嚢胞とは
     簡単に説明すると膝の後ろに水が溜まってしまう疾病です。
    半膜様筋腱(太もも裏内側の筋肉)と腓腹筋内側(ふくらはぎの筋肉)が重なる間に存在する滑液包(袋)と言う組織が炎症を生じ腫大したものを言います。

  • 滑液包とは
     筋肉、腱、靭帯などが重なり合う間に存在し、関節運動時に生じる筋肉、腱、靭帯の摩擦を軽減させる働きをしています。

  • 原因
     上記の滑液包に炎症が生じると、滑液包内に液が貯留し腫大してしまいます。
    主に50歳以降の女性に好発し、変形性膝関節症や関節リウマチに合併して生じることがあります。

  • 症状
     膝裏やや内側に鶏卵大の波動性を有する腫瘤を認め、ほぼ痛みを感じる事もなく圧痛、熱感はありません。膝後面の不快感や正座時の緊張感を訴えます。

  • 治療法
     物理療法などの保存療法などや、窄刺により滑液包内の排液で治癒することもあります。また難治例では滑液包を摘出する場合もあります。
    上記の症状が現れた場合は、専門の医療機関に相談しましょう。

熱中症

 夏真っ盛りになりました。今回は特に注意が必要な熱中症について説明したいと思います。
熱中症にはいくつか種類があり、大きく3つに分けられます。

  1. ① 熱けいれん・筋肉がけいれんしている状態。
  2. ② 熱疲労・皮膚が青白く、体温が正常な状態。
  3. ③ 熱射病・皮膚が赤く、熱っぽい状態。

「対処法について」

  • ①の場合は、けいれんしている部分をストレッチやマッサージをします。
  • ②の場合は、心臓より足を高くし仰向けに寝かせます。水分が摂れる状態なら、薄い食塩水又はスポーツドリンクを何回かに分け補給します。
  • ③の場合は、座った状態で寝かせ、首、脇の下、足のつけ根など、血管が皮膚表面に近い所を氷などで集中的に冷やします。

「予防策について」

  • ・体調を整え、寝不足や風邪ぎみの時は暑い日中の外出や運動を控える。
  • ・通気性の良い洋服を着て、外出時は帽子をかぶるようにする。
  • ・「のどが渇いた」と感じる時は、かなりの水分不足になっている可能性が高いので、 定期的に少しずつスポーツドリンクなどの水分を補給する。

 年齢を問わず誰でも熱中症になる可能性はあります。自分で予防をすれば防げる可能性は高くなりますので、自分の身は自分で守れるように予防をしっかり行いましょう。

股関節の痛み(変形性股関節症)

今回、変形性股関節症のお話です。
変形性股関節症とは股関節に発生する変形性関節症であり、なんらかの原因で関節軟骨の破壊が起きた場合やそれに反応して骨増殖を生じた結果、股関節に変形をきたす非炎症性疾患の事を言います。また原因により二つに分類され、一つは関節軟骨細胞の機能低下や関節を支持する筋や靭帯の支持力の低下など高齢化に伴う関節の変化が起こり、ここに機械的刺激が加わり続けることによって関節の破壊や変形がみられるものを一次性関節症といいます。一方、二次性関節症は先天的・後天的の変形が原因で発症するものであり、多くは先天性股関節脱臼、臼蓋形成不全など先天性の疾患によって起こるものです。
 症状としては、股関節を中心とした痛みが主体となりますが、臀部や大腿部、膝上部痛を訴えることもあります。また発病初期には目立った運動制限は見られませんが、症状が進行するにつれて股関節の曲げ伸ばしやあぐらがかけなくなるなどの運動制限が出現してきます。
 治療法は病期によって治療法が異なるので専門医の診断が必要となりますが、初期段階であれば可動域訓練や筋力強化訓練などの保存療法での対応が可能になります。変形性股関節症は早期発見・早期治療が大切です。上記のような症状が見受けられる方は早めに専門医に診てもらうようにしましょう。

股関節の痛み‐小児編(単純性股関節炎)‐

 今回は小児の股関節痛に関するお話です。小児の股関節疾患において最も頻度が高いのが「単純性股関節炎」です。この疾患は患部の痛みが1~2週間で落ち着いてくる疾患で予後は良好ですが、同じ股関節疾患でperthes病、若年性関節リウマチ、股関節結核等との鑑別が必要となります。特に初期症状での判断が重要になりますので単なる股関節部の痛みを侮ってはいけません。
原因としては外傷、細菌感染、アレルギー等、様々な要因が考えられますが、はっきりとした原因は不明です。以下が単純性股関節炎のチェックポイントですので参考にしてみてください。

‐チェックポイント‐
  • 3~10歳の男児に多く見られる。
  • 片方の股関節に痛みが出る。
    (今現在では両方の股関節が同時という例はありません。)
  • 股関節や大腿部の前面~膝関節の内側にかけて痛みを訴える。
  • 跛行(異常歩行)が見られるようになる。
  • 股関節を外側に軽く開き、捻った状態でその肢位を維持するようになる。
    (痛みが軽減するため)
  • やや関節可動域の制限が見られることもあり、あぐらをかくような姿勢を特に嫌がる事が多い。

※微熱が出る事も稀にありますが、検査などをしても陽性にでる事はありません。

 この疾患は安静にすることが最も重要となりますので、運動などは控え経過観察をすることが必要となります。レントゲン、エコー検査、MRIなどの検査や症状をみる事で判断出来ますので、痛みを訴えた場合速やかに医療機関を受診することをお勧めします。

疲労骨折

  • 疲労骨折とは
     骨は繰り返し加えられる外力に非常に弱く、通常では骨折を起こさない程度の外力が繰り返し加わった場合に生じる骨折のことを疲労骨折と言います。
     最近では子供から老人に至るまで、スポーツが普及しスポーツ障害としての疲労骨折が増加しています。(特に10代に好発)

  • 疲労骨折の原因

    1. 筋疲労による骨自体に直接加わる衝撃力
       筋肉は収縮することで、筋肉自体が付着している骨組織に対して作用する力(負担)を軽減させると考えられています。ところが繰り返し筋肉を収縮することで、筋自体に疲労が生じ骨組織にかかる負担を軽減できなくなり、骨自体に強い衝撃力が加わることで疲労骨折を生じます。

    2. 筋肉の繰り返しの収縮により生じる過大な牽引力
       筋肉の繰り返しの収縮で骨に対して筋肉の牽引力が過度に生じ、骨自体に歪みが生じることで疲労骨折が生じます。

  • 疲労骨折発生部位
     脛骨(すね)> 中足骨(足の甲)> 腓骨(外くるぶし)> 足根骨(足首)

  • 疲労骨折の症状
     発生部位に疼痛を訴え、運動時に増強することが多く安静時には疼痛は軽減します。
     他覚的所見では患部に限局的な圧痛、時に明らかな腫脹、熱感が認められます。

  • 疲労骨折の治療方法
     疲労骨折は上記の説明通り微力な外力が繰り返し加わり負傷する為、原因となっているスポーツ競技を即座に控え安静にしましょう。
     基本的には保存療法を行います。専門の医療機関を受診し治療に専念しましょう。

強直性脊椎炎

 今回は強直性脊椎炎についてお話しします。
主として、脊椎の椎間関節、仙腸関節、あるいは股関節などに起こる多発性の炎症で、好発年齢は10代後半から20代です。患部の運動制限が著明で進行すると関節強直(関節が動かなくなる)となります。初期では一過性の背部痛など軽い症状が多いですが、進行した場合には脊柱が前彎して前かがみの状態となり股関節も強直状態となります。

(特徴的な症状として)
  • ① 安静にしても軽快しない腰痛、また胸背部痛とこわばり感。
  • ② アキレス腱部の痛み。
  • ③ 脊柱の運動制限、胸郭の拡張制限
  • ④ 合併症でぶどう膜炎

このような症状が特徴として挙げられます。
レントゲンでは胸腰椎移行部に脊柱の変化が見られる事が多く、脊柱の前・後縦靭帯が骨化することがあります。
治療としては抗炎症剤の投与や運動療法、脊柱変形が強い場合や股関節強直に対しては手術療法が対象となります。予後の経過は長く、10~20年にわたって徐々に進行する場合が多いので、こうした身体の症状が出現した際は早めに専門医に診てもらうことをお勧めします。

股関節の痛み ‐ 小児編Ⅱ(大腿骨頭すべり症)‐

 大腿骨頭すべり症とは、思春期、特に12~16歳の成長が盛んな時期に大腿骨近位骨端線(太ももの骨の股関節に近い成長軟骨の部分)で大腿骨が頸部(成長軟骨より上の部分)に対して後方に転位することによって股関節の疼痛と可動域制限が起きる疾患です。特に肥満傾向の男児に多いとされ、原因としては内分泌異常や局所の力学的異常が考えられていますが明確にはされていません。

症状としては、急性・慢性・慢性経過中に急性悪化が起こったものの3つに分けられます。
急性例では、何も症状が無い状態から軽度な外傷をきっかけに強い股関節痛が起こり、患肢(痛い方の足)に体重がかけられなくなります。可動域制限を生じ、運動時痛は著しいため早期発見が可能になりますが、発生頻度は比較的低く全体の10%とされています。すべりの程度は大きいことが多く大腿骨骨折との鑑別が必要となってきます。
慢性例では、跛行(足を引きずる)を主訴として、股関節痛、大腿痛、あるいは膝関節痛が数カ月続き、運動負荷により症状が悪化します。痛みが股関節部ではなく大腿部や膝関節部にある場合は見誤りやすい為注意が必要です。軽度の症状では軽度の運動制限が見られるだけですが、症状が強くなると股関節を曲げた際に太ももをお腹につけることができなくなります。
慢性例では特に早期発見・早期治療が大切になってきますので、お子さんの日常生活動作のなかで歩行に違和感や股関節の運動制限・運動後痛などがみられた場合早めに専門医に診てもらうようにしましょう。

股関節の痛み ‐ 小児編Ⅰ(ペルテス病)‐

股関節部の痛みはさまざまな原因によって出現します。今回は小児におこる股関節の痛みの一つ(ペルテス病)を解説したいと思います。
ペルテス病とは3〜12歳の小児期に多い疾患の一つで、特に4〜9歳に発生頻度が多く、女児に比べて男児に多い傾向にあります。
大腿骨骨頭(太ももの骨)への栄養を送る血管が断たれてしまう事によって疎血が起こり、大腿骨骨頭が壊死または変形が生じる疾患となります。原因は諸説ありますが現在のところ確定的なものではありません。

 早期での症状は、跛行(外傷、奇形、疾患等により正常な歩行ができない状態)が最も多く、痛みを回避するために現れる症状と考えられています。そのため股関節自体には強い痛みを訴えることは稀です。痛みを訴える場合は大腿部~膝関節に痛みが出現することが多く、膝の疾患と区別しなければなりません。さらに、股関節の動きが悪くなる事があるのでそのような症状も見逃さないように注意が必要です。

 治療方法としては保存療法、手術療法の2通り選択肢があります。それぞれ長所・短所があり、症状によって治療方法が変わってきますのでこのような症状が見られたら、ご相談下さい。